昔、フランスの修道院で、多数の修道女が屋根の上に登り、卑猥な言葉を発しながら体を反り返らせて四つ足で歩き回るといった奇行を何日間も続けた事件がありました。
この事件では、首謀者として、修道院に赴任してきたばかりの若き男性司祭が処刑されてしまいましたが、実は、若き司祭は無実でした。若き司祭に嫉妬し、自らの立場が危ういと感じたベテラン老司祭の意図を修道女たちが汲み取って行った事件だったのです。
この事件で注目すべき点は、この奇行にあたって、修道女同士も、修道女とベテラン老司祭も言葉による会話を交わしたり、申し合わせたわけではなかったということです。
つまり、「悪性」は非言語でも伝染するのです。
いつも不機嫌なスタッフがいたり、いつも不親切なスタッフがいたり、反倫理的なことをしがちなスタッフがいれば、彼ら彼女らの悪性は、見えないうちに他のスタッフに伝染し、組織の性質を変えてしまいます。
また、組織自体が「悪性」に染まっていれば、そこに属した個人もすぐに「悪性」の身をまとってしまいます。
思想家の吉本隆明氏は「その会社で自分が腐った人間になるようであればやめた方がいい」という言葉を残していますが、まさにそうかもしれません。
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