【コラム】fictional death (仮の死)と人生の再生

結婚が破談になった、職場でクビになった、脱サラして開業したが閑古鳥、などなど、「人生詰んだ」と思ってしまうことはあると思います。

そんな時は、ある種の儀式を執り行うのも良いかもしれません。その儀式とはfictional death、「仮の死」です。

こんな方がいます。

その方は、都内の歯科大でも教鞭をとる有能な歯科医でした。

ところが、自分の配偶者が自分の教え子と不倫していることが発覚したのです。

その方は奈落の底に落とされたような気分でした。

「もう、彼女と同じ空気を吸いたくない」

なんとその方は、これまでの地位も仕事も捨ててアメリカに渡ったのです。

そしてイチから勉強しなおしてアメリカで歯科医の免許を取りました。そして新しい配偶者と出会い、歯科医としても活躍しています。

その方はこう言っていました。

「一度死んだと思えば、やり直せる」と。

話は変わって、アニメ界の巨匠、宮崎駿氏の代表先に「風の谷のナウシカ」というのがあります。主人公のナウシカもやはり「仮の死」の儀式を行います。

服を脱ぎ捨て、草に包まれてコンコンと眠るのです。

誰にでもこの儀式は執り行うことができます。

何も引越しするとか、お金のかかることでなくても、遠くに電車で行ってみるとか、ちょっと豪華なお昼を食べてみるとか、靴を買い換えてみるとか、部屋の模様替えをするとか、玄関を徹底的に掃除してみるとか、普段の行動を少しだけ変え、自分の中に溜まっていた心の澱(おり)を減らすことはできると思うのです。小さな変化は大きな変化を呼びます。