ある時、幼い息子を亡くした女性がお釈迦様の元を尋ねて懇願しました。
「この子を生き返らせてください」
お釈迦様は言いました。
「では、亡くなった者が一人もいない家から石を7つもらって来なさい。そうすれば、息子さんを生き返らせて見せよう」
女性は、家々を周りました。
が一つの石ももらうことはできませんでした。
そして女性は理解しました。「身内の死を経験したのは自分だけではないこと」を。
ある経営者の男性が、行きつけの定食屋さんに行きました。取引先が倒産してかなりの債権が焦げ付き、気晴らしに外食をしたくなったからです。
定食を食べながら債権が焦げ付いた話をすると、店を経営するご夫婦はこう言いました。
「実はうちの店が大きかった頃、改装を頼んでた業者さんが夜逃げしちゃってね。その年はスタッフにボーナスを払えなかったのよ」
その定食屋さんはとても繁盛していたので男性は驚きました。ご夫婦は、ちょっとした別荘を持つ資産家でもありました。
そのとき、男性は悟りました。
「このご夫婦、お客さんにも恵まれて幸せそうだけど、時々大きな損を経験されている。もしかしたら、致命傷にならない程度の損は、かえってその後の幸運に繋がるのかもしれない」と。
出す作品、出す作品がヒットした脚本家で小説家の向田邦子さんが飛行機事故で亡くなった時、同じく作家の色川武大さんはこうつぶやいたと言います。
「彼女は幸運が続きすぎた」と。
もし、何かで損を被った時は、「この程度で済んでよかった。次は良いことがあるかもしれない」と思った方が良いかもしれません。実際そうなります。
